日本企業のオフショア開発における文化的要素〜ベトナムに進出しているIT企業の事例を中心に〜
これまでの多くの先行研究では、プロジェクト管理や異文化コミュニケーションなどオフショア開発の現場で発生した問題を取り上げる際、文化的側面とその役割について述べられてきた。しかし、それらは文化とは何かについて述べておらず、文化的側面は当然のようにオフショア開発に存在しているという前提で進められた研究がほとんどである。幸地・霜田(2009)やサザーランド真理亜(2010)などの研究では、文化の定義にも触れているが、「文化の壁」や「異文化接触」などの焦点に当て、オフショア開発の特定の要素だけを考察している。 文化そのものは抽象概念であり、幅広い分野において様々な定義で扱われているため、オフショ...
Saved in:
Main Author: | |
---|---|
Other Authors: | |
Format: | Theses and Dissertations |
Language: | Japanese |
Published: |
2020
|
Subjects: | |
Online Access: | http://repository.vnu.edu.vn/handle/VNU_123/89427 |
Tags: |
Add Tag
No Tags, Be the first to tag this record!
|
Institution: | Vietnam National University, Hanoi |
Language: | Japanese |
Summary: | これまでの多くの先行研究では、プロジェクト管理や異文化コミュニケーションなどオフショア開発の現場で発生した問題を取り上げる際、文化的側面とその役割について述べられてきた。しかし、それらは文化とは何かについて述べておらず、文化的側面は当然のようにオフショア開発に存在しているという前提で進められた研究がほとんどである。幸地・霜田(2009)やサザーランド真理亜(2010)などの研究では、文化の定義にも触れているが、「文化の壁」や「異文化接触」などの焦点に当て、オフショア開発の特定の要素だけを考察している。
文化そのものは抽象概念であり、幅広い分野において様々な定義で扱われているため、オフショア開発における文化的要素も様々な視点で扱われるものであると考えられる。そこで本研究では、文化の定義を定めるうえで、オフショア開発の文化的側面に関する先行研究を概観し、それらの研究で取り上げられている箇々別々の文化的要素を体系的にまとめたい。それが本研究の第1の目的である。
オフショア開発が進められる際、文化的要素は独立した存在ではなく、常にオフショア開発に参加するメンバーとの相互関係にあると考えられる。文化的要素はオフショア開発の環境にいるメンバーの考え方と行動様式に影響を与える面もあれば、逆にオフショア開発のメンバーが自らの行動様式の変化を通じて文化的要素の特徴を変容する面もある。本研究では、オフショア開発に参加するメンバーと文化的要素の関係を考察したい。それが本研究の第2の目的である。
まとめると、本研究では、以下の2つのリサーチクエスチョンを明らかにすることを目的とする。
(1)日本企業のオフショア開発において、文化的要素はどのように表れているのか。
(2)オフショア開発に参加するメンバーは文化的要素に対してどのような意識を持っているのか。 |
---|